妊娠中の管理として厳格な血糖コントロールを維持し、母体と胎児の健康に必要な栄養素の適切な量と配分を確保することが大切です。
妊娠中の食事療法で重要なのは、母体の体格や妊娠年齢に応じたエネルギーの付加と、食前・食後の血糖値の変動を最小限に抑えるための分割食の利用です。また、血糖コントロールには、食品交換表や糖質計算法による調節方法があります。

妊娠中の母体は、インスリン抵抗性や胎児のエネルギー消費量の増加により、食後高血糖や高インスリン血症になりやすいといわれています。胎児は母体から主にグルコース、アミノ酸、遊離脂肪酸などの栄養を摂取します。胎児の主なエネルギー源はグルコースであり、母体のエネルギー源は脂肪の分解によって供給されます。
食事は、巨大児をはじめとするさまざまな胎児・新生児合併症を引き起こす可能性のある母体ケトーシスを避けるため、炭水化物を中心としたバランスの取れた食事を摂取することが大切です。また、高血糖は、妊娠高血圧症候群や母体の糖尿病合併症の増悪を引き起こす可能性があります。
したがって、糖代謝異常のある妊婦さんには厳格な血糖コントロールが必要になります。 妊娠中のエネルギー摂取量は、目標体重を基準に、妊娠中に必要なエネルギー、たんぱく質、ミネラルなどの量を追加して計算されます。母体や胎児の発育に適した体重増加になるように、エネルギー必要量を設定します。1日の総エネルギー量の配分や摂取時間帯を考慮し、1回の食事量を減らし、食事回数を増やすために分割食が推奨される場合もあります。

以上のことから、妊娠中の管理は、厳格な血糖コントロールを維持しながら、母体と発育中の胎児の両方に適切な栄養を確保する必要があります。母体の食事は、胎児合併症を引き起こす可能性のある母体ケトーシスを避けるために、十分な炭水化物を摂取する必要があります。エネルギー必要量は目標体重をもとに医師が設定をし、それに基づき栄養指導を行っていきます。
妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変


