A59.妊娠糖尿病/産後の管理/
妊娠糖尿病の妊婦さんの退院時の注意点

f.糖代謝異常について

妊娠糖尿病(GDM)とは、妊娠中に発症する糖尿病の一種です。お母さんと赤ちゃんの両方に合併症を引き起こす可能性があります。出産後、GDMの女性は将来の健康問題を防ぐために、適切なケアと指導を受けることが重要です。

GDMを管理する第一の目標は、母子ともに将来の糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームを予防することです。
出産後に耐糖能が正常に戻ったとしても、後に2型糖尿病を発症するリスクが高いため、定期的なフォローアップが重要です。食事、運動、健康的な体重の維持などの生活習慣の改善も重要です。
退院時に、GDMのお母さんは、糖尿病の発症を防ぐために、定期的な内科外来受診と生活習慣の改善が重要です。

産後は育児や仕事などで忙しく、医療機関を受診しなくなる女性も少なくありません。継続的なケアの重要性を理解して受診するようにしてください。
耐糖能異常のフォローアップの重要性として次のことが挙げられます。
GDMの既往がある女性は、将来的に糖尿病を発症するリスクが高くなります。そのため、出産後6~12週目に75gの経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受ける必要があります。正常または境界型糖尿病であっても、定期的な検診をお勧めします。その際には、検査方法や診察頻度などについても内科の先生と持続可能な範囲で相談して、決めておくことが重要です。
また妊娠を考えている女性は、妊娠前にブドウ糖負荷試験を受けるようにしてください。
将来の2型糖尿病発症予防のために、生活習慣の改善は、GDMの既往がある女性の2型糖尿病の発症を予防するのに役立ちます。また、GDMの母親から生まれた子どもは、将来糖尿病やメタボリックシンドロームになるリスクが高いことから、母親のライフスタイルを改善することは、子どもの健康的なライフスタイルにもつながり、子どもの糖尿病発症を予防するのに役立ちます。
食事、運動、健康的な体重の維持など、生活習慣の改善についてしっかりと指導を受けて実践する必要があります。
また、肥満はGDMやGDMから2型糖尿病への移行を引き起こす危険因子であるため、体重管理は極めて重要です。健康的な体重を維持することは、将来の2型糖尿病の発症を予防することができます。妊娠後は、十分なカロリーのあるバランスの良い食事が推奨されます。食物繊維や、小麦全粒粉や小麦ブランなどの未精製の穀物の摂取は、2型糖尿病の発症リスクを低下させることが報告されています。アジア人では、魚介類やn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取することで、糖尿病になりにくくなることが報告されています。また、日本人では、コーヒーや緑茶の糖尿病予防効果も報告されています。
また、肥満や糖尿病の予防には、定期的な運動が重要で、産後には特に定期的に運動するように心がけましょう。授乳も体重減少を促進し、血糖値を下げますし、GDMの経験がある女性で授乳期間が長い人は、2型糖尿病の発症リスクが低下することも報告されています。

まとめると、GDMの女性は、将来の健康問題を防ぐために、出産後に適切なケアと指導を受けることがとても重要です。糖尿病やその他の関連疾患の発症を防ぐためにも、定期的に健診や医療機関を受診し、食事、運動、健康的な体重の維持といったライフスタイルの改善が重要です。

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

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