妊娠中の糖尿病管理におけるHbA1cとグリコアルブミン(GA)について説明します。
糖尿病は、体が血糖値を適切に調節できない状態です。妊娠中、血糖値が高くなると、母体と胎児の両方に合併症を引き起こす可能性があります。 したがって、妊娠中の血糖コントロールにはHbA1cと血糖値が大切になります。
基本的に妊娠中の血糖コントロールのモニタリングとしてHbA1cと血糖値が用いられます。 しかし、HbA1cは貧血や鉄剤の影響を受けることがあり、現在の血糖コントロールの良い指標とは言えません。一方、GAは短期的な血糖コントロールを反映し、食後高血糖の管理により有用とされています。 日本糖尿病・妊娠学会は、妊娠中のHbA1cとGAの正常値について調査しました。その結果、耐糖能正常な妊婦のHbA1cの平均値は5.0%で、その範囲は4.4~5.6%、GAの平均値は13.6%でその範囲は11.5~15.7%であることが分かりました。

妊娠中の血糖コントロールの推奨目標は、HbA1cが6.0~6.5%未満、空腹時血糖値が95mg/dL未満、食後血糖値が120mg/dL未満です。ただし、一般的にHbA1cは推奨される食後血糖値よりも高くなります。 日本糖尿病・妊娠学会は、血糖値、HbA1c、GAと周産期の転帰の関係を調べる研究を行いました。その結果、妊娠中の血糖値管理は、随時血糖値、GA、HbA1cを総合的に考慮することが重要であることがわかりました。


本研究では、妊娠中の平均血糖値は週を 追うごとに低下し、6.4週で平均129.8 ± 59.9 mg/dL、39.9週で96.3 ± 25.8 mg/dLであったことが示されました。平均HbA1cは25.8週で最小5.9±0.7%でしたが、平均GAは妊娠32週で最小14.9±1.5%となりました。HbA1cは妊娠の全過程で正常範囲に達しませんでしたが、GAは妊娠第2期で正常範囲に達しています。

結論として、妊娠中の血糖コントロールをモニターするためにHbA1cとGAを使用します。HbA1c値は貧血や鉄剤の影響を受けることがありますが、GA値は短期的な血糖コントロールを反映し、食後の高血糖を管理する上でより有用です。周産期合併症を管理するために血糖値、GA、HbA1cを総合的にモニターすることになります。
妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変


