A65.妊娠糖尿病/産後の管理/
産後の新生児のフォローアップは?

f.糖代謝異常について

妊娠糖尿病(GDM)や1型・2型糖尿病の母体から生まれた赤ちゃんは、胎児期に高血糖の影響を受けることがあります。これにより、赤ちゃんは過成長となり、高出生体重で出生しやすくなります。さらに、小児期以降に小児期以降のインスリン抵抗性、高インスリン血症を呈し、肥満や2型糖尿病の発症リスクが高くなることがあります。

そのため、妊娠糖尿病(GDM)や1型・2型糖尿病の母体から生まれた赤ちゃんは、肥満や2型糖尿病の発症予防のために、定期的な健康診断が必要です。

具体的なフォローアップ方法は以下の通りです。

<出生から1歳6カ月>
一般的な乳幼児健診である1カ月時,4カ月時,7カ月時,10カ月時,1歳時,1歳6カ月時の健康診査時に併せて行いましょう。
・生活習慣指導
可能な限り母乳がおすすめです。離乳食は塩分をひかえ,健康的な日本食を心がけましょう。糖質を含んだ清涼飲料水はできるだけ避けましょう。
・体格評価
身長・体重が標準曲線に沿っているかをグラフ化して確認しましょう。この時期の肥満、乳児肥満はその後の肥満との関連は少ないので、多少体重増加が多くても経過観察で問題ありませんが、将来の肥満予防のためには、離乳食、幼児食の食事についてわからないことがあれば、医師や栄養士に相談しましょう。

<歳6カ月〜 3歳>
この時期は乳児から幼児への移行期であり、基礎となる生活習慣が身に付き始める時期です。また成長速度の低下がはっきりしてくる時期でありますので、3歳時健診を行いましょう。
・生活習慣指導
幼児食は塩分をひかえ、健康的な日本食に慣れるようにしましょう。糖質を含んだ清涼飲料水はできるだけ避けましょう。
・体格評価
身長・体重が標準曲線に沿っているかをグラフ化して確認しましょう。1歳6カ月以降6歳まではBMIは低下していきます。一般に5歳以前にBMIが増加に転じた場合、肥満になりやすいと言われています。従って、1歳6カ月時健診以降はBMIも確認し、以前のBMIと比較してみましょう。
3歳以降は性別身長別標準体重を基に肥満度も算出します。肥満度+15%以上は幼児肥満と判定されます。

<3歳〜 6歳>
この時期は、基礎となる生活習慣が確立する時期です。また、この時期の急激な体重増加が、その後の肥満発症に強く関連しています。従って、この時期のフォローアップはきわめて重要です。1年に1回は成長を適正に評価し、生活習慣指導を行い幼児肥満の予防を行いましょう。
・生活習慣指導
幼児食は塩分をひかえ、健康的な日本食に慣れるようにしましょう。好き嫌いを作らないように、楽しい食卓で、親がバランスのよい食事を摂るように心がけましょう。
糖質を含んだ清涼飲料水はできるだけ避け、可能な限り体を使った遊びをさせるようにし、TV、TVゲーム、スマートフォン、インターネットなどスクリーンタイムはできるだけ少なくしましょう。
・体格評価
以下の場合、肥満傾向と判定します。
①体重が標準体重曲線からシフトアップしてきた場合
②BMIが増加に転じた場合
③肥満度+15%以上の場合

肥満傾向の場合は生活習慣指導を受けます。家庭で毎日夕食前に体重測定を行い、急激な体重増加がないことを確認してください。
小学校入学前まで肥満にならなければ、それ以後の肥満のリスクは少なくなります。

<小学生〜中学生>
基本的な生活習慣がほぼ確立する時期であり、将来の肥満、2型糖尿病予防のために重要な時期です。思春期にはインスリン抵抗性が亢進するため、糖尿病が発症しやすくなります。
・生活習慣指導
学校給食を参考に、バランスのよい食事を心がけましょう。
糖質を含んだ清涼飲料水はできるだけ避け、体を使った遊びを促し、スクリーンタイムはできるだけ少なくしましょう。1日1時間以内など、ルールを決めるようにしましょう。
中学校ではできれば運動部に所属し、運動習慣を確立するようにしましょう。
・体格評価
1年に1回は検査をしましょう。標準成長曲線のグラフ化,BMI,肥満度の算出,腹囲の測定をします。この時期にBMIは増加していくので、肥満の判定には使用できません。
以下の場合は肥満傾向と判定し、生活指導をうけましょう。
①体重が標準体重曲線からシフトアップしてきた場合
②肥満度+20%
③腹囲/身長比0.5以上の場合

肥満傾向の場合は、生活習慣指導を受け、家庭での体重測定を行いましょう。

・臨床検査
10歳前後から始めます。小学校4年時、中学校1年時など、区切りのよい学年あるいは5年間隔で検査を行いましょう。検査内容は、空腹時血糖、HbA1c、インスリン、尿糖、尿ケトンなどです。希望することで経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行うこともできます。

<高校生以降>
年齢とともに2型糖尿病の発症率は上昇するので,肥満でなくとも定期的な検査が必要です。
・生活習慣指導
バランスのよい日本食生活、運動習慣の維持、禁煙、特に一人暮らしが始まってからは注意が必要。
・体格評価
肥満度あるいはBMIで評価します。17歳6カ月以降はBMIで評価します。BMI 25以上の場合は肥満と判断します。
・臨床検査
高校1年生、大学1年生など区切りのよい年齢に行いましょう。以後3 〜 5年間隔で実施します。

糖代謝異常の母親のお子さんは、将来、肥満や糖尿病になる可能性があります。そのため、お子さんの健康を守るために、定期的な健康診断が必要です。また、お母さん自身も糖尿病の発症を予防するために、定期的な健康診断が必要です。そのためには、糖尿病内科と小児科が連携して、お母さんとお子さんを一緒にフォローアップすることが大切です。

 

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

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