◆妊娠糖尿病(GDM)既往はGDM 発症リスク因子の1つ
妊娠糖尿病(GDM)の発症リスク因子には、糖尿病の家族歴、肥満、巨大児出産歴、年齢、人種(ヒスパニック、アフリカ系アメリカ人、ネイティブ・アメリカン、アジア人、太平洋諸島の住民)、そしてGDM既往があります。欧米のガイドラインによっては微妙に異なることがありますが、これらは妊娠初期に検査を受ける際に重要な要素です。
◆発症率
海外の報告によると、GDMの再発率は30〜84%であり、人種が最も影響する因子であることが報告されています。非ヒスパニック白人では30〜37%、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、アジア人では52〜69%とされています。また、2015年に報告されたメタアナリシスでは、再発率は平均48%であり、非ヒスパニック白人は39%、他の人種では56%と有意に高かったことが報告されています。初産婦では40%と経産婦73%に比べて有意に低かったです。年齢やGDM診断基準に加えて糖尿病家族歴は再発率に相関はなく、次回妊娠までの生活習慣への介入により発症を減らすことができる可能性があると報告されています。日本人を対象とした報告は非常に少なく、これまでの報告では再発率は47.2〜80.0%と大きな幅があり、再発率の平均は67.3%でした。大規模な前向き研究はないため、新しいGDM診断基準に基づく検討が待たれます。

◆次回妊娠時の妊娠糖尿病の発症リスクについて
妊娠糖尿病(GDM)の再発リスク因子には、肥満(BMI)、年齢、妊娠中の体重増加、妊娠中のインスリン治療歴、経産回数、巨大児分娩、妊娠間隔が短い、妊娠間の体重増加などが挙げられています。日本の報告では、肥満、妊娠間の体重増加、妊娠間隔が短い、年齢、経産婦、HbA1c値、前回妊娠時のGDM診断時期、75gOGTT陽性ポイント数などが挙げられています。これまでに報告された大規模な前向き研究はなく、各国でGDMのスクリーニング方法、診断基準や産後のフォローアップ方法、介入の有無が異なるため単純な比較は難しいですが、日本ではGDM発症率・再発率が高いと考えられます。
産後のフォローアップおよび栄養・体重管理は、将来の糖尿病発症スクリーニングや発症予防に加えて、次回妊娠に向けて糖尿病発症、および次回妊娠時のGDM発症予防のため非常に重要です。近々、GDM既往女性に対する産後のフォローアップに関するガイドラインが発表される予定です。
栄養と体重管理は、妊娠糖尿病(GDM)の予防と管理において重要な役割を果たします。食事エネルギー量の目安としては、標準体重×30kcalを基本として、妊娠初期(~13週)は標準体重×30kcal+50kcal、妊娠中期(14~27週)は標準体重×30kcal+250kcal、妊娠後期(28週~)は標準体重×30kcal+450kcalとすることが推奨されています。
また、適度な運動もGDMの予防と管理に役立ちます。ただし、食事管理と運動プログラムは医師の指示に従って行うようにしてください。
日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変


