A36.妊娠糖尿病/妊娠中の管理 /
妊娠中に使用できるインスリンは?

f.糖代謝異常について

妊娠中のインスリン使用について 適切な食事療法と運動療法で血糖値のコントロールができない場合、インスリン療法を開始して血糖値をコントロールする必要があります。

妊婦さんは各インスリン製剤の特徴を理解し、担当医と相談したうえで適切なインスリンを選択していく必要があります。
妊娠中の高血糖は、母体や乳児の様々な合併症を引き起こす可能性があります。 したがって、糖代謝異常のある妊婦さんは、適切な食事療法、運動療法を行い、血糖コントロール目標が達成できない場合は、インスリン療法で血糖をコントロールする必要があります。

2型糖尿病の女性では、妊娠前にインスリン療法に切り替えて妊娠前の管理を行う「計画妊娠」が必要です。
日本では、胎児に対する薬剤のリスク評価基準はまだ確立されておらず、現在日本で販売されているすべてのインスリン製剤の添付文書には、妊婦への慎重投与が記載されています。しかし、ヒトインスリン(商品名:ヒューマリンR)、インスリンリスプロ(商品名:ヒューマログ)、インスリンアスパルト(商品名:ノボラピッド)、インスリンデテミル(商品名:レベミル)などのインスリン製剤は、妊娠中の使用も安全であると考えられています。

ヒトインスリンは催奇形性はなく、胎盤のインスリン分解酵素により不活性化されるため、胎児に移行することはありません。 インスリンリスプロは、ヒトインスリンと比較して、食後血糖値、HbA1cを改善し、重度の低血糖を軽減することが確認されています。
また、先天異常や巨大児、新生児低血糖、新生児呼吸窮迫症候群の発生頻度を減少させることが示されています。
インスリンアスパルトは、食後血糖値を改善し、新生児低血糖のリスクを低減することが示されています。
インスリンデテミルは、ヒトインスリンと比較して妊娠中の血糖コントロールに差はありませんが、空腹時血糖値を改善し、効果時間が長いことが示されています。
インスリングラルギンは、ヒトインスリンと比較して、乳児の周産期転帰のリスクは増加しないことが示されています。 以上のことから、インスリン療法は糖代謝異常のある妊婦さんにとって極めて重要な治療選択肢です。

妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変

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