A61.妊娠糖尿病/産後の管理/ 
産後の血糖管理はどのようにしたらよいですか?

f.糖代謝異常について

出産後、お母さんのインスリン抵抗性(血糖調節能力)は、特に妊娠中に異常な血糖値だった人は、大きく改善されます。場合によっては、インスリンの投与量が劇的に減少したり、不要になったりすることもあります。しかし、産後や授乳期には、依然として血糖値を測定してコントロールを行うことが必要です。ここでは、大阪府立母子保健総合医療センターでの実例や欧米の報告から、出産後の血糖値管理の方法を紹介します。 出産後の目標血糖値は、空腹時と食後は70~110mg/dL、食後は100~180mg/dLで、高血糖(血糖値が高い状態よりも低血糖(血糖値が低い状態)にならないよう注意します。 そして、出産直後から退院までの管理について、次のように行います。

【1型糖尿病合併妊娠の場合】
1型糖尿病患者の場合、食事開始前から基礎インスリン(持続性インスリンまたは中間インスリン)を分娩前の半分の量でインスリン療法を継続します。インスリンポンプを使用している患者さんは、出産前も出産後もインスリン点滴を継続します。炭水化物は、インスリン効果値を妊娠前または妊娠初期に設定し、グルコース・インスリン比を出産直前の2倍または妊娠前と同じにします。その後、血糖自己測定(SMBG)で測定した血糖値に応じて、インスリン投与量を調整します。インスリンの静脈内投与を開始した場合は、1~2時間ごとに血糖値を測定し、必要に応じてインスリンの投与量を減量します。

【2型糖尿病に合併した妊娠の場合】
2型糖尿病患者の場合、分娩時から食事開始まではインスリン投与を中止します。食事開始後は、基礎インスリン、追加インスリンともに分娩直前の半分の量で再開します。インスリンの量は、血糖値や乳汁分泌量に応じて調整します。

【妊娠性糖尿病の場合】
妊娠糖尿病の患者は全員、産後はインスリンを中止します。食事開始までは3時間ごとに血糖値を測定し、200mg/dL以上の血糖値が続くようであればインスリンの静注を検討します。食事開始後は、1日4回(空腹時と毎食後2時間)血糖値を測定し、200mg/dLを超える場合はインスリン皮下注射を検討することとしています。

【退院後と1ヶ月検診後の管理】
出産後、インスリン抵抗性は劇的に改善し、母体の状態は1~2週間で妊娠前の状態に戻ります。妊娠糖尿病の患者さんは、産後6~12週目に耐糖能の再評価を受ける必要があります。大阪府立母子保健総合医療センターでは、産後1ヶ月健診で75gのOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を行っています。耐糖能が正常な患者さんは1年後に再評価を行い、境界型糖尿病、糖尿病型、糖尿病と診断された患者さんはより詳細に受診するようにすると良いでしょう。

 

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

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