A63.妊娠糖尿病/産後の管理/
妊娠糖代謝異常のあった妊婦さんから生まれた新生児の気をつけることは?

f.糖代謝異常について

糖代謝異常合併妊婦から生まれた新生児は、胎児期の高血糖と高インスリン血症、およびその結果起こる過成長のため、種々の異常を出生後に起こす可能性があるので、
医療機関はこれらの異常を十分に理解し、分娩時には早期の診断と対応(新生児蘇生法を習得したスタッフが分娩に立ち会う,出生後の呼吸障害に注意する,生後 2時間まで30 分ごとに血糖測定する,先天異常などを確認する,血液検査で多血症,低カルシウム血症を診断する,心臓超音波検査を実施する,高ビリルビン血症のフォロー)を行います。

糖代謝異常合併妊婦から生まれた新生児は一般的に糖尿病母体児(IDM)とよばれ、種々の疾患を発症する可能性が高くなります。そのため、可能性のある疾患、適切な治療や予防を理解しておきましょう。

糖代謝異常合併妊婦から生まれた新生児に認められる疾患は、糖代謝異常の遺伝的素因の影響より、むしろ胎芽および胎児期の母体血糖の上昇の影響で、妊娠時期により母体血糖高値の児への影響が異なります。

妊娠初期は、胎芽の器官形成時期ですので、母体血糖の上昇は児の先天異常の発生頻度を高くします。

妊娠中期および後期の影響は、胎盤を通じた母体栄養の胎児への移行に起因します。胎盤にはグルコーストランスポーター(GLUT)のGLUT-1とGLUT-3が豊富に存在し,インスリン非依存的にグルコースの胎児移行を促進しています。しかし、胎児の血糖は母体より約10 〜 20mg/dL低く、グルコースの胎盤の通過には制限があります。
ただ、母体が高血糖となれば、それに比例して胎児の血糖値も上昇します。

しかし、インスリン(血糖降下ホルモン)は胎盤を通過しないため、血糖上昇に対して胎児がインスリンを分泌し、胎児は高インスリン血症となります。
この胎児の高血糖−高インスリンがPederson説とよばれ、過成長を含め新生児に認める種々の病態について説明されていますが、実際には、アミノ酸と脂肪酸を含む他の栄養素および総カロリーなどの複合的な栄養過剰が影響しています。

新生児の予後を改善するためには、糖代謝異常合併妊婦から生まれた新生児に起こる合併症を十分に理解しておきましょう。

 

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

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