A10.妊娠糖尿病/妊娠前の管理 /
糖尿病女性の避妊法は?

a.妊娠前

糖尿病の女性の妊娠前の管理と妊娠中の合併症を回避するために利用できる避妊法について解説します。妊娠前に厳格な血糖コントロールを行い、妊娠が許可されるまでは確実な避妊を行い、計画的に妊娠することが重要です。糖尿病の女性がすべき避妊方法は、健常女性における避妊方法と同様ですが、血管合併症がある場合は利用できる避妊方法が限定されます。

糖尿病(DM)の女性の妊娠は、健常女性よりも母体および乳児の合併症のリスクが高くなります。妊娠初期のHbA1cの上昇は、胎児の無脳症、小頭症、先天性心疾患などのリスク上昇と関連しています。したがって、妊娠を希望するDM女性にとって妊娠前の血糖コントロールの重要性を十分に理解することは不可欠です。

DM女性の避妊法は、基本的には健常女性と同じです。日本で利用可能な避妊方法とその有効性を次に示します。

経口避妊薬(OC)は、日本で最も一般的に使用されている避妊法です。OCと子宮内避妊具(IUD)は性感染症(STI)を防ぐものではないことに注意する必要があります。DMに罹患してから20年未満で、糖尿病性腎症、網膜症、神経障害などの血管合併症がない場合は、どの避妊法でも使用可能です。

血管合併症がある場合は、避妊法に伴う副作用のリスクが増加してしまうため、使用できる避妊法が制限されます。しかし計画外に妊娠してしまうことは、これらの避妊法の副作用のリスクを上回ります。 コンドームなどのバリアー法は最も広く使われている避妊法で副作用もほとんどありません。しかし、避妊効果に関しては到底不十分です。そのためDM女性が使用する場合は、他の効果の高い避妊方法と併用することが推奨されています。

経口避妊薬(OC)には、エチニルエストラジオール(EE)とプロゲストーゲン(P)という2つの女性ホルモンを含む配合剤と、P単体の2種類があります。
低用量エストロゲンプロゲスチン(LEP)は避妊薬としての適応はありませんが、月経困難症に対する保険適応があります。血管疾患のないDMの女性におけるOCの使用には制限がありません。血糖値およびインスリン必要量への影響は、あったとしても軽微であり、妊娠糖尿病(妊娠前は糖尿病の指摘がなく、妊娠による影響で血糖が高くなってしまう疾患)の既往のある女性の2型糖尿病の発症のリスクが高くなることはありません。

OCはコレステロールや血液の固まりやすさへ影響を与えますが、計画外の妊娠によるそれらへの影響を上回りません。しかし、OC服用中に血圧の上昇が認められた場合は、血管疾患のリスクが懸念されるため中止を検討し、他の避妊法への変更を検討する必要があります。DMの思春期女性にもOCは使用可能ですが,OCやLEPの使用は骨量を減少させる可能性があり,骨量維持の観点からEE20μgの超低用量ピルよりもEE30~40μgの低用量ピルの使用を推奨する報告もあります。また,20歳未満でのOC使用開始による乳癌リスクの上昇は,大規模試験で証明されていません。20年以上のDM歴のある女性や糖尿病性腎症を合併したDM歴のある女性にはOCの使用は禁忌とされています。

妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変

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