A32.妊娠糖尿病/妊娠中の管理 /
経口糖尿病薬(血糖降下薬)は妊娠中は使えますか?

f.糖代謝異常について

ビグアナイド系(メトホルミン)やSU剤(グリベンクラミド)などの経口糖尿病治療薬の妊娠中の使用は、賛否両論あります。
現在使用されている経口糖尿病薬は、妊婦への使用は推奨されていません。
しかし、メトホルミンやグリベンクラミドを服用した女性から生まれた乳児の異常の頻度は、これらの薬を服用しなかった女性と同程度であることが研究で示されています。メトホルミンは、妊娠糖尿病の妊婦の血糖コントロールに使用した場合、インスリン注射と変わらない周産期予後であることが報告されていますが、グリベンクラミドは新生児低血糖や巨大児のリスクが高いです。

妊娠中の薬剤投与では、母体と胎児の健康を考慮する必要があります。多くの薬剤の添付文書には、「妊婦、産婦及び授乳婦に投与する場合、治療による有益性が危険性を上回る場合に投与すること」と記載されています。より安全な薬剤があり、同等の効果が期待できる場合は、「妊娠中または妊娠の可能性のある女性には禁忌」と表示されることもあります。妊娠中に使用できる薬剤については担当の産科医と相談して使用することが重要です。

メトホルミンは、日本では1954年から使用されているビグアナイド系薬剤です。ラットで催奇形性が報告されています。妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすく、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌とされています。しかし、胎児期に母体投与によりメトホルミンに曝露された小児の形態異常の頻度は、一般集団に比べて高くはありません。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)はインスリン抵抗性に伴う排卵障害であり、ビグアナイド系薬剤は排卵誘発に有用であることが報告されています。

 

妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変

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