A28.妊娠糖尿病/妊娠中の管理 /
妊娠中の体重増加の基準を教えてください

a.妊娠前

2021年4月に日本産科婦人科学会が制定した妊娠中の体重増加のガイドラインについて解説します。
このガイドラインは、早産や巨大児といった周産期イベントのリスクを最小限に抑えるために作られました。

妊娠前の体格によって推奨される体重増加量が異なり、「低体重」「標準体重」「第1度肥満」「第2度以上の肥満」の4グループに分類されます。ここでは、特に低体重の女性に対して、これまでの日本での推奨量よりも高い体重増加量を推奨しています。

これまで日本では、妊娠中の体重増加について3種類の推奨事項があり、それぞれ目的が異なっていました。日本産科婦人科学会の周産期委員会は、出生児の長期予後を改善するための妊娠中の体重増加量や、妊娠中の体重増加と母体の長期予後との関係についてのエビデンス(根拠)が不十分であったため、新たな勧告を作成することを決定しました。新勧告は、日本産科婦人科学会が保有する周産期データベースをもとに、400名以上の産婦人科医と共に作成されました。

このガイドラインは、これまでのものよりも医学研究所(IOM)の勧告に近いものです。 ただし、注意しなければならないのは、推奨体重増加は厳密なガイドラインではなく、周産期の要因しか考慮されていないため、母親や乳児にとってベストとは限らないということです。母体や乳児の長期予後など、考慮すべき要素は他にもあります。

ここでは、妊娠中のエネルギー摂取量についても触れています。妊婦さんは妊娠していない方に比べて多くのエネルギーを必要としますが、過剰なエネルギー摂取は過度の体重増加を招き、母体や乳児の健康障害を引き起こす可能性があります。
妊娠中に推奨されるエネルギー摂取量は、妊娠前の体格指数(BMI)によって異なるため、妊婦さんは医師に相談し、個別にアドバイスを受けることが必要です。

以上、日本産科婦人科学会が制定した妊娠中の体重増加に関する新ガイドラインは、早産や大きな赤ちゃんを出産するなどの周産期イベントのリスクを最小限に抑えることを目的としています。ただし、推奨される体重増加は厳密なガイドラインではないことに留意し、妊婦さんは妊娠中の体重増加やエネルギー摂取に関して、医師に相談して個別にアドバイスを受けることが必要です。

妊娠糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」MEDICAL VIEWより転載一部改変

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