A48.妊娠糖尿病/妊娠中の管理 /
妊娠中に胎児死亡を起こすと聞いたのですが本当ですか?

b.妊娠中のトラブル

糖尿病を合併した妊娠における胎児死亡についてお話します。
妊娠中の糖尿病は、胎児死亡の危険性が高くなります。しかし、妊娠前から分娩までの良好な血糖コントロール、胎児の健康状態の厳格な評価、分娩の最適時期の決定などにより、近年、周産期死亡率は著しく改善されています。

糖尿病合併妊娠では、周産期死亡の多くは重篤の形態異常によるもので、糖尿病女性の6〜12%に発生します。その他、妊娠35週以降の子宮内突然死、早産児の新生児呼吸窮迫症候群(RDS)、巨大児の分娩障害などが原因として知られています。
1型糖尿病の妊婦さんでは、子宮内胎児死亡は、糖尿病のない一般人口の3~4倍と言われています。
2型糖尿病は、1型糖尿病よりも周産期死亡率が高くなることが報告されています。原因不明の死産は、明らかな糖尿病(overt diabetes)の妊婦さんに比較的限られています。妊娠糖尿病(GDM)では、適切な観察と治療により胎児死亡は増加しないことが報告されていますが、空腹時血糖が上昇するGDMの妊婦さんでは胎児死亡率が上昇するが指摘されています。

血糖コントロール不良は、原因不明の胎児死亡と関連しています。これらの原因不明の胎児死亡は、乳酸値が高く、臍帯静脈血のpHが低く、胎児インスリン値が高いことと関連しています。このことから、原因不明の胎児死亡には、慢性的な低酸素状態と高血糖を介した胎児の代謝経路が関与していると考えられますが、正確なメカニズムはまだわかっていません。
また、糖尿病合併妊娠は妊娠高血圧症候群(HDP)の危険因子であり、網膜症や腎症などの血管病変があると、HDPの頻度はさらに高まります。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、糖尿病をもつ妊婦さんの約1%に発症し、依然として最も深刻な合併症です。
ケトアシドーシスは、妊娠悪阻、β刺激薬(子宮収縮抑制薬)、感染症、ステロイドの使用などによって誘発されます。DKAを発症した妊婦の周産期死亡率は35%に達しますが、母体死亡率は1%未満です。妊婦さんは妊娠していない女性に比べて低い血糖値でケトアシドーシスを発症することが特徴です。

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

タイトルとURLをコピーしました