A64.妊娠糖尿病/産後の管理/
産後の耐糖能評価とお母さんのフォローアップは?

f.糖代謝異常について

妊娠糖尿病(GDM)のお母さんの産後管理について

研究によると、妊娠糖尿病(GDM)のうち約40%が20年後には糖尿病を発症しており、産後期間6週~28年で、GDMの2型糖尿病発症の相対危険率は非GDMの7.43倍であったことが報告されています。このことから、GDMは将来の2型糖尿病発症のリスクがとても高いと言えます。

妊娠糖尿病(GDM)は、妊娠中に発生する糖尿病で、出産後には通常正常に戻りますが、場合によっては糖代謝異常が続くことがあります。そのため、出産後に再検査が必要です。米国産婦人科学会(ACOG)、米国糖尿病学会(ADA)、世界保健機関(WHO)は、いずれも出産後の再評価を推奨しています。日本でも、日本糖尿病学会と日本産科婦人科学会は、出産後6〜12週間での再評価を推奨しています。再評価の方法は75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)です。しかし、実際には受診率が低く、再検査が行われないことが多いです。その理由としては、病気に対する理解が不足していることや育児の多忙さなどが挙げられます。そこで、聖マリア病院では1カ月健診(出産後4〜6週)と同時に再検査を行っています。この時期での再評価は、妊娠中のインスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態のこと)の影響や授乳の影響のため正確ではない可能性もありますが、確実に受診する1カ月健診の時期にいったん検査をしておくことをお勧めします。

米国産婦人科学会(ACOG)、米国糖尿病学会(ADA)は、産後の耐糖能が正常な場合は1〜3年ごとの定期的な健康診断や検査を推奨しています。境界型(血糖値が正常よりも高いが、糖尿病と診断されるほど高くない状態)の場合は、予防的介入(食事や運動など、病気の発症を防ぐために行われる対策)を考慮するように推奨しています。英国国立医療技術評価機構(NICE)ガイドラインでは、産褥6〜13週での空腹時血糖値による耐糖能スクリーニングを推奨しています。空腹時血糖値が108mg/dL未満では3年ごとの検査を、108mg/dL以上、126mg/dL未満では1年ごとの検査を、126mg/dL以上では1年以内での検査と体重コントロールを行うことを推奨しています。

聖マリア病院では、75gOGTTやHbA1cを測定して耐糖能の評価を行い、体重のチェックも行い、必要であれば栄養指導などを行っています。産後初回の耐糖能再評価は1カ月健診時に行われます。境界型・糖尿病型はその後の治療や経過観察を糖尿病内科にて継続的に行います。正常型を示した症例は1年ごとに75gOGTT、HbA1c測定を行うことが推奨されています。

妊娠糖尿病(GDM)の産後の定期的な検査は、糖尿病の発症リスクを予測し予防するために重要ですので、妊娠中から産褥フォローアップの重要性を十分に理解しておきましょう。

日本糖尿病・妊娠学会 編集 「妊婦の糖代謝異常診療・管理マニュアル第3版」 MEDICAL VIEWより転載 一部改変

タイトルとURLをコピーしました